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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「そして2年後のマリージョア襲撃事件のあとから、父は本格的に彫り師としてこの島で生活をするようになった。天竜人の烙印を刺青で消すことができるホリヨシの技術は、たちまち評判になった」

その数、500人以上。
父はほとんど無償で刺青を彫り続けた。
それは同時に、クレイオにとって世界最高の技術を見て学ぶ機会でもあった。

「だけど、烙印の上から墨絵を描くということは、天竜人の紋章『天駆ける竜』に傷をつけるということ・・・もちろん、政府が黙っているわけがなかった」

奴隷の烙印を消す彫り師が、シャボンディ諸島にいる。
その情報を知った政府は、父親を探し始めた。
もし故郷ワノ国に帰ることができたら、助かっていたかもしれない。

「5年ぐらいして・・・とうとう私達の目の前に海軍が現れ、奴隷解放事件に関与した罪で父を捕らえようとした」


“拙者はただの彫り師。世界政府にたてつく気は毛頭ない!!”


「政府にたてつく気がなくても、下々民は天竜人の紋章に触れるだけで罪」


そして、その罪を犯す者は、世界政府にとって危険因子だった。


「奴隷は天竜人の手を離れても、烙印がある限りは彼らの所有物・・・何年経とうが、それは変わらない」


監獄に連れていかれたら二度と帰ってこれないことは分かっていた。
それだけではない。
政府は娘であるクレイオまで制裁を下す対象としていた。


“危険因子は根源から絶つべきだ”


クレイオにも手錠がはめられると、父は海軍に懇願した。


“どうか娘だけは助けてくれ!! 娘は何も知らない”


しかし、その時すでにクレイオは彫り師としての道を歩んでいた。


「私と父は天竜人の紋章を穢す“危険因子”。私達を捕らえることは、フィッシャー・タイガーを捕らえられずにいた海軍が、世界貴族にメンツを保つためにも必要なことだった」


政府は腐っている。

海賊王ゴールド・ロジャーの船を造ったというだけで、名のある船大工に死刑判決を言い渡すことも・・・
知られては都合の悪い歴史を隠すために、優れた考古学者を島ごと“消す”ことも・・・

それが“正義”として、まかり通る。

強引なやり方で人々を納得させ、洗脳し、偽りの平和を築こうとしている。






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