第6章 真珠を量る女(ロー)
「なァ・・・お前の首にも賞金が懸けられているんだろ・・・? コイツを海軍への土産にすれば、小遣い程度にはなるか?」
でも海軍は今、それどころじゃねェか・・・と笑う。
その表情には一切の慈悲が無かった。
「ロー・・・?! どうしてここに・・・!!」
もう二度と会うことはないと思っていたのだろう、解放されたクレイオは咳き込みながら、幽霊を目撃してしまったような表情をしている。
そんな彼女とは視線を合わせず、ローは海賊を見据えた。
「ドフラミンゴの名を恐れねェのは結構・・・だが、丸腰の女を脅すのは、見ていて気分がいいもんじゃねェな」
切り離された胴体はクレイオの前でもがいている。
こんな状態になっても生きていることが信じられないのか、海賊は青い顔をしながらローに懇願した。
「く、首を返せ・・・!! た、頼むから!!」
「返して欲しけりゃ、今すぐこの店から出ていけ」
「分かった、出ていくから命だけは───!!」
これから新世界に行こうという海賊が必至に命乞いをしている姿に、ローは蔑むような目を向けると、横殴りの雨が降ってる外へ首だけを放り投げる。
すると海賊の仲間達も首の無いリーダーの胴体を抱きかかえながら、一目散に出て行った。
「・・・・・・・・・・・・」
ハートの海賊団とクレイオだけとなった店内に、重苦しい緊張感が漂う。
「ひ・・・久しぶりね・・・助けてくれてありがとう」
「・・・・・・・・・・・・」
ローは礼を言ったクレイオを一瞥しただけで何も言わず、床に横倒しになっていたイスを元に戻し、どかりと座った。
その威圧的な態度に、クレイオもクルー達もどうしていいか分からず、困ったようにただ立ち尽くす。