第6章 真珠を量る女(ロー)
それから10日後。
世界を震撼させる出来事が起こった。
“マリンフォード広場”でのポートガス・D・エース公開処刑。
それは、世界の三大勢力である四皇、七武海、海軍が激突する、かつてないほどの大きな戦争となった。
「キャプテン、すごいことになったね・・・」
大きなモニターに映し出されている中継映像を見ながらべポが呟いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
新世界から海賊が流れ込むことを防ぐため、海軍が魚人島へのルートを封鎖してしまった。
そのせいで、ローやキッドを始め無事だった海賊達は、シャボンディ諸島から出発できずにいる。
彼らは皆、思い思いの場所から戦況を見守っていた。
ローもまた、エースが海賊王の息子だと明かされた時からジッとモニターに目を向けていた。
その瞳に移るのは、
王下七武海
海軍
白ひげ海賊団
そして・・・
「エース~~~!!! 助けにきたぞ~~~!!!」
兄を救うため、最高戦力も恐れずに戦禍の中へ飛び込んでいった“最悪の世代”の一人。
「麦わら屋・・・?」
大事な人の命を守ろうとする彼の姿は、人知れずローの心を大きく動かしていた。
程なくして、公開処刑の真っ只中にも拘わらず中継映像が途絶え、マリンフォードの様子が分からなくなってしまう。
白ひげ
ポートガス・D・エース
世界の運命はどうなってしまうのか。
人々が戦々恐々としている中、ローはスッと腰を上げた。
「船を出すぞ、べポ!!」
「アイアイ、キャプテン!」
「ついて来い、ジャンバール!!」
現在、世界でもっとも危険な場所となっているマリンフォード。
そこへ向かうローの瞳は、静かなる覚悟が秘められていた。