第6章 真珠を量る女(ロー)
「彼はこの両替商の経営者であり、この店の全てを私に任せてくれている」
その瞬間、ローの表情が歪んだ。
ドフラミンゴが経営している店と言ったのは海兵を追い払うための嘘であって欲しい、と心のどこかで願っていた。
しかし、クレイオが右手に抱えている天秤には、しっかりとスマイルの髑髏が彫られている。
それは紛れもなく彼女と七武海が繋がっているという証拠だった。
「何故、ドフラミンゴの店を選んだ・・・偶然か?」
「選んだ・・・? 違う、この店はそもそも、あの方が私達のために用意してくれた店」
「ドフラミンゴがお前のために? 気前がいいどころの話じゃねェな・・・お前とあいつの間に何がある・・・?」
指一本でも動かせば、喉元を斬る。
ローの圧倒的な殺気と警戒心を前に、クレイオは抵抗するそぶりを一切見せなかった。
怯むことなく真っ直ぐとローを見据えると、口元に薄い笑みを浮かべる。
「それは・・・貴方と彼の間に何かがあるから気になるの? 若様、貴方に会いたがっていた」
部屋の一番奥にある棚の前に立っていたペンギンは、ローの異変に気が付き、“キャプテン!”と叫んだ。
しかし、その一瞬前にローの口から“ROOM”という言葉が漏れる。
そして瞬きする間もなく、クレイオの胸から四角いゼリーに覆われた心臓が抜かれていた。
「・・・・・・!!」
ドクン、ドクンと脈打つピンク色の心臓。
クレイオの驚きをそのまま受け取っているのか、通常よりも速い鼓動を打っていた。
ローはそれを左手で握ると、冷酷な瞳を向ける。
「これはお前の心臓だ。分かるよな?」
軽く握っただけで、四角く穴があいたクレイオの左胸に激痛が走った。
生命の源ともいえる心臓を奪われたのだ、生きるも死ぬも彼次第。
これが“オペオペの実”の能力・・・?
なんと残忍な力なのだろう・・・