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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「・・・なにか御用でしょうか」

ドアの前には、二人の海兵が立っていた。
銃をいつでも発砲できるように構えながらクレイオを見下ろしている。

「何故、すぐに出ない。海賊を匿っているんじゃないだろうな?」

「私は両替商です。ほんの少しの振動で飛び散ってしまう砂金を量っていたので、すぐに出ることはできませんでした・・・申し訳ありません」

「両替商・・・? とにかく、中を確かめさせろ」

「それはお断りします」

その瞬間、クレイオと海兵の間に緊張が走った。

「断る? 何故だ」

「理由は一つ。うちは“非合法”の店なので、海軍に見られると都合が悪いものばかりなのです。ご理解ください」

ドアは、クレイオの身体しか見えないギリギリのところで止まっている。
しかも明かりを消しているから、外からは中の様子が分からなかった。


「非合法? ふざけるな!! それならまず、お前を先に捕らえる」

「それはできません。私は法よりも強い力で“守られて”いますから」

クレイオは微笑み、海兵達の前に天秤をかざした。
すると、それまで横柄な態度を取っていた二人の顔色が変わる。


「───王下七武海、“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴ」


天秤に刻まれているのは、ドフラミンゴの海賊旗。
そして、クレイオの口から彼の名前が出た瞬間、ローの表情も変わった。


「ここは、ドフラミンゴ様が経営する両替商。その汚い足を踏み入れたかったら、海軍本部よりも“上”の許可を取ってきなさい」


世界政府によって公認された海賊、ドフラミンゴ。
彼の行為は全て特例によって許可されているだけでなく、“部下”にも恩赦が与えられている。

禁止されているはずの人身売買も、海軍本部のそばにいながら堂々とヒューマンショップを経営できているように・・・

王下七武海の称号を掲げている以上、政府はこの店とクレイオに簡単に手を出すことはできなかった。

クレイオが持つ金の天秤は、それを誇示するもの。







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