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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「クレイオ!! おれの前を走れ!!」

べポが叫んだ。

「キャプテンは能力を無限に使えるわけじゃないんだ!! お前が走らなきゃ、安全な場所まで“飛ばす”ために命を削ることになる!!」

「白クマ君・・・?!」

屈強な海賊達と違い、クレイオの心肺はすでに限界を迎えていた。
加えてこの粉塵だ、呼吸をするだけで咳き込んでしまう。

それでも走るしか生き残る道がないことは、濃い煙の向こうに見える大勢の海兵の影が物語っていた。

ここにいても、ローの足手まといになるだけ。
クレイオは腹を括ると、海賊に向かって叫んだ。


「ハートの海賊団のみんな・・・私の両替商に来て!!」

「なんだと・・・?」

「おそらく港はもう、海軍が占拠しているはず・・・貴方達は絶対に逃げられない」


でも、私なら・・・貴方達を救えるかもしれない。


「私を信じて!」


ローは黙っていた。

クレイオの店に行ったところで、海軍から逃れられるとは到底思えない。
何より、彼女を巻き込みたくはなかった。

だが、少しでも時間を稼ぐことができるなら、突破口は開かれるかもしれない。


「分かった・・・お前を信じよう」


ローはクルーに目くばせをすると、妖刀「鬼哭」を振り下ろし、退路を作るべく立ち込める煙を左右に割った。


「お前ら、逃げることだけを考えろ! クレイオの両替商で落ち合うぞ!!」


そして自らは、ロズワード聖の奴隷だったジャンバールと並んで、海軍と向き合うように前に立つ。


「ここはおれとこいつで食い止める。ペンギン、べポ! クレイオを死なせるんじゃねェぞ」

「アイアイ!! キャプテンも死なないで!!」

「誰に言ってる・・・」


たった二人で、光線を放つ得体のしれない敵や海軍と戦うというのか。

しかし、ローには不敵な笑みが戻り、べポ達も船長を疑うそぶりは微塵も見せない。

多勢に無勢であることは明らかだったが、クレイオはローを信じ、その場を去ることしかできなかった。










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