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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第6章 真珠を量る女(ロー)




「トラファルガー・ロー・・・」


宝石や真珠は、人間の所有欲、地位欲、権力欲、色欲の象徴。
クレイオが持つ真鍮の天秤は、その中にある“本当に価値あるもの”の重さを測る。


「貴方はその身体に何を刻みたいの?」


いったい、何が彼女の意識を変えたというのか。
ローには分からなかったが、ポケットから数枚の紙を取り出すと、宝石が散りばめられたテーブルの上に並べた。

「これだ」

それは、“ハートの海賊団”の海賊旗のスケッチ。

微笑む髑髏の周りを“T”が囲み、まるでスクリュー・プロペラを模しているようだ。
さらに5本の指に“DEATH”を一文字ずつ、そして手の甲にも簡略化した海賊旗を。

「もう一つデカいのがあるんだが・・・それは、お前じゃなくホリヨシに直接見せたいと思っている」

ローが本当に大切に思っているのは、上半身に大きく彫りたいと思っているその刺青。
だが、彫り師ではないこの女にその絵を見せるつもりはなかった。

「場所は随分と肘から先に集中しているようだけど」
「おれは医者だ。おれの能力は全てここにあるからな」
「命を救う手に“死”の文字、ね・・・」

他人からもらったという心と、医学の知識で、この人は人間を生かすのか、それとも殺すのか・・・
善人には見えないし、崇高な意志を持っているようにも見えない。

だがきっと、彼によって“救われる”人間もいるのだろう。

医者と名乗る人間は、そのような星の下に生まれることが多い。






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