第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
エース・・・あなたは自分の血を残したくないと言った。
ゴールド・ロジャーの血を残したくなかったのね。
でも、私は違う。
ポートガス・D・エース、“あなた”の血を残したい。
そう願ったと同時に、手の平の中に広がっていた熱が消えた。
ザザーン・・・
ザザーン・・・
“お前はおれが怖いか?”
ザザーン・・・
ザザーン・・・
“海賊であるおれは、お前にとって憎むべき存在か?”
「エース・・・」
手に残るのは、火傷の痛みだけ。
もうビブルカードの感触はない。
「あなたが憎むべき存在か・・・私なんかが答えずとも、もう分かっているでしょ」
あれだけ多くの仲間があなたを救うため、命を懸けていた。
それほど愛される人間を私は他に知らない。
すると、堤防の向こうから興奮気味に叫ぶ声が聞こえてきた。
「白ひげが死んだ!!!!」
たちまちのうちに、あちこちから歓喜の声が湧き上がる。
海軍が勝利した。
ロジャーの血は途切れ、
白ひげは死に、
これで海賊の時代が終わった。
誰もがそう喜んでいた。
「エース・・・白ひげ・・・」
クレイオは海の方を向き、祈りを捧げるように目を閉じた。