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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)









数週間後。

海軍本部のあるマリンフォードでは、世界を震撼させる事件がまさに起ころうとしていた。

バナロ島の一つ前の夏島でも島中の電伝虫がその様子を中継し、住民達は広場に集まって固唾を飲みながらそれを見守る。

巨大なスクリーンに映し出されるのは、海軍本部元帥センゴクとその隣で“死刑囚”として跪くエース。
海軍と白ひげ海賊団、これから始まる戦争に誰もが不安を隠せず、その引き金となる公開処刑をただ見つめることしかできなかった。

そして、クレイオもまた、人の輪の一番外から静かにスクリーンに目を向ける。


初めて見る海軍本部元帥は、世界中に向けてゆっくりと語り始めた。


『ポートガス・D・エース・・・この男が今日ここで死ぬ事の大きな意味についてだ・・・・・・』


どういうわけか、センゴクは跪くエースに向かって父親の名前を言ってみろと命令した。

「なんだ、どういうことだ・・・?」
「火拳のエースが死ぬ事の意味って何かしら」

人々は首を傾げながら、センゴクかエースか、どちらかが口を開くのを待つ。

『・・・ガガッ・・・お前・・・母親が・・・ガガッ・・・トリックが・・・』

“念波”が悪く、ところどころ雑音が混じっていたが、センゴクがエースの出生について語っていることだけは分かる。

クレイオはだんだんと心臓の鼓動が速まっていくのを感じた。
映像がかなり乱れてはいるが、エースがつらそうに項垂れているのが見える。

どうか・・・これ以上、彼を苦しめないで欲しい。

そう願っても、クレイオにはどうすることもできない。


『サウスブルーにバテリラという島がある。母親の名はポートガス・D・ルージュ。女は我々の頭にある常識を遥かに越えて、子を想う一心で実に20か月もの間、子を腹に宿していたのだ!!』


その瞬間、クレイオの脳裏にエースの言葉が蘇った。


“おれの親父は白ひげだ。お袋のことは・・・その名前と、命をかけておれを産んでくれたことしか知らねェ”


ああ・・・お願い、海軍元帥・・・・・・
どうかそれ以上、何も言わないで。





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