第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「お前を“焦がしちまった”責任を取るさ」
「・・・なにそれ」
まったくもって海賊らしくない男だ。
そこらの中途半端な優男とは比べものにならないほどの図太い信念を持っている。
「今は誓いを交わすことはできねェが・・・」
海賊としての自分の夢を叶えたら、その時は。
「おれが永遠と言ったら最後、お前を絶対に一人にはしねェ。海のどこにいようとも、だ」
家族になろう、クレイオ。
ルフィとオヤジにまず、お前を紹介したい。
「船の上にいるか、土の上にいるかは知らねェが、お前と家族になったら楽しくやれそうだな」
「でも、あなたそっくりの子どもが産まれたら大変そう」
すると、エースは複雑そうな顔でクレイオの下腹部を撫でると、優しくキスをする。
「おれの本当の父親はろくでもねェ男だ」
「エース・・・」
「おれは、自分のこの呪われた血を後世に残したくない。ガキはいらねェから、お前とふたりで家族をやっていきてェな」
悲しいかな・・・
その言葉は、暗にそんな未来がふたりには訪れないことを物語っていた。
エースは体を起こし、クレイオの唇に深くキスをした。
絡み合う舌に、チリリと焼けるような熱さを感じる。
「クレイオ・・・」
そして、頬、首筋、鎖骨、乳房、鳩尾、臍と、いたるところに唇を這わす。
そのたびに、軽い火傷をするような感覚を覚えた。
この火を、熱を、全身で覚えていて欲しい。
黒ひげを始末し、オヤジが海賊王になるのを見届けたら迎えに来る。
「永遠に愛してる・・・」
これが、エースがクレイオへの愛を口にした最後だった。