第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「家族か・・・お前と家族になったら、どんな感じなんだろうな」
裸のまま抱き合いながら、エースがポツリと呟いた。
「私と家族・・・? 結婚の誓いでもするつもり?」
「ケッコンかァ・・・考えたこともねェ。その誓いって、どうやってするんだ?」
「うーん、そうね。この島では指輪を交換するの。そして・・・」
この指輪とともに私の命をあなたに捧げる
今日より先、私の手はあなたを包み、私の心はあなたを愛していく
永遠にあなたとともに
「今言ったような誓いの言葉を交わすのよ」
「ふーん、そりゃ大層だな」
「でも、海賊が“永遠”に続く約束を交わせるわけがないわよね」
クスクスと笑いながら言うと、エースはちょっと不服そうに眉をひそめた。
「いや、そんなことねェぞ」
「え?」
「おれは、お前のことなら永遠に愛せる」
それは彼なりの誓いの言葉だったのだろうか。
「もちろん、海賊を辞める気はねェ。けど、この先ずっと、お前はおれの中の一番譲れねェところにいるんだと思う」
「・・・・・・・・・・・・」
「オイオイ、また“おれのことは信じない”って顔してんな」
“意地っ張りめ”とクレイオの頬をつねってみせる。
だが、クレイオが黙っていたのは別の理由だった。
「違う・・・その言葉を信じられないんじゃなくて・・・エースの口からそういう言葉が出てきたことが信じられない」
「ガラにもねェって言いたいのか?」
「ううん・・・てっきり、一度限りの関係かと思ってたから」
「あー? んなわけねェだろ。ここまで抱いちまったんだ、ちゃんと落とし前つけさせてくれよ」
ところどころに愛液と精液が飛び散ったグチャグチャのシーツを指さし、ニッと笑った。