第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「こんなこと、真面目に語ったのは初めてだ。マルコやサッチ達には話したが、あん時は酔っぱらっていたからな」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前だから、話した」
そういうと、エースは身体を起こしてクレイオに背を向けた。
そこにあるのは、背中一杯に描かれた大きな白ひげのマーク。
「普通の奴にしてみれば、こんなの背負ってるおれは恐ろしい奴に見えるんだろうな」
だから、クレイオが“町に行くなら隠せ”と言ったのも頷ける。
「だが、こいつはおれの大切なオヤジの印なんだ」
“今死ぬには惜しいな小僧”
“おれの息子になれ!!!”
「おれが母親からもらった身体に刻んだ刺青は二つ」
背中の髑髏マーク。
「一つは“誇り”」
左腕の名前。
「もう一つは“絆”」
この二つを背負い、エースは海賊として海を渡っていく。
「───ありがとう、エース」
クレイオも起き上がると、エースの左腕にそっと触れた。
「あなたの誇りと絆を話してくれて、ありがとう」
「・・・・・・・・・・・・」
「その背中と腕にあるタトゥーは、あなたの“家族”なのね」
ごめんなさい、それを隠させるようなことをしてしまって。
もし、いつかまたあなたと一緒に外を歩ける日が来たら・・・
その時はそのタトゥーを隠さなくてもいい。
私が堂々とその横を歩いて、町の人に知らしめてあげよう。
この人が誇示しているのは、強さや恐怖じゃない。
誇りと家族の絆だということを・・・