第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「Aがおれ。Sは死んだ兄弟の旗印」
「死んだ兄弟? ルフィくんのことじゃないの?」
「ああ、おれ達は三人兄弟なんだ。一緒に海賊になろうと約束してたんだが、そいつだけ一足先に海に出て・・・死んだ」
“誰よりも自由な海賊になって
また兄弟3人、どこかで会おう。
広くて自由な海のどこかでいつか必ず!!”
「そんで、ルフィはコイツだ」
エースは何故か、“E”の文字を指さしていた。
「E? どうして?」
「見てろよ」
“E”の文字の縦線を人差し指でなぞり、右へ折れ曲がる。
すると、“L”の文字が浮かび上がった。
「L・・・ルフィくんのLがある・・・」
「最後に、この“C”の中央にある黒い点・・・こいつは・・・」
“───それからエース
おれとお前はどっちが兄貴かな”
「これはAとSの弟が、Lだということを示す点」
“長男二人、弟一人
変だけどこの絆はおれの宝だ
ルフィの奴はまだまだ弱くて泣き虫だけど”
「“おれ達”の弟、ルフィだ」
サボがエースとルフィに遺した最後の手紙。
あの時、エースは初めて・・・
泣いた。
普通の子どものように嗚咽を上げ、声を枯らし、泣いた。
「だから、“A”、“S”、“点のあるC”、“Eの中にあるL”・・・この4つでおれの名前なんだ」
「・・・すごい・・・」
クレイオは言葉を失った。
初めは“綴りを間違えたのか”とすら思ってしまったことを申し訳なく思う。
そんなに深い意味が込められていたとは・・・