第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
ああ、どうして人間には絶頂というものがあるのか。
二人で一緒にどこまでも高く、高く、快感を追い求めていたいのに。
だけど、どうしても“その時”はきてしまう。
「エースッ・・・もう、ダメ・・・」
二人の肉体はもうすっかりと溶け、快感という海の渦に取り込まれてしまったようだ。
クレイオは息ができない苦しさすら感じ、無意識のうちにエースの背中に爪を立てていた。
「クレイオッ・・・!」
エースは切ない想いを抱く女性の身体を抱きかかえると、さらに奥へ、さらに激しく刺激を与えていく。
すると、クレイオもエースを引き寄せるかのように、さらに奥へ、さらに激しく絡みついていった。
そして、快感が強い至福感へと変わった瞬間。
「ああッ!!」
クレイオが大きく弓なりになって果てた。
その直後に、濃密な精液も勢いよく吐き出されていく。
「・・・熱いッ・・・」
生まれて初めて味わう、白濁とした飛沫が身体の中心に叩きつけられていくような感覚。
それは頭の中を真っ白にし、強い光で満ちさせてしまうほどの快感だった。
儚い火がクレイオを焦がす。
エースはしばらく身体を痙攣させながら、命を彼女の中に残そうとしているかのように射精を続けていた。
「エース・・・エース・・・」
熱に浮かされたように何度も名前を呼ぶその姿が、堪らないほど愛しい。
ずっとずっと眺めていたかった。
「クレイオ・・・大丈夫か・・・?」
汗ばんだ前髪を撫でながら声をかけると、焦点が合わない瞳でコクンと頷く。
いきなり無理をさせてしまったことを軽く後悔しながらも、そんなクレイオを見ているとそれ以上の幸せがエースの心を埋め尽くしていた。