第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「ありがとう、エース」
クレイオは微笑んでいた。
あなたが私を抱くのに、女を悦ばせる常套句はいらない。
だって、あなたが口にする全ての言葉が私の心を動かすのだから。
「いつかあなたが人生を振り返る時、この島のこと・・・私のことをちょっとでも思い出してくれるなら、それで十分」
意地っ張りでもなんでもいい。
私は絶対にあなたを引き留めはしない。
あなたから自由を奪ったりはしない。
だから、お願い。
「あなたを愛している人間がこの島にもいることを、どうか忘れないで」
その女は、名もなき海兵の娘。
海に出る勇気などなく、島の子ども達に本で得られる知識しか教えられない、憐れな教師。
そんな私でも愛してくれてありがとう。
「クレイオ・・・」
もう、どのような言葉を使っても、想いを十分に表すことはできないだろう。
ならばこの気持ちを“熱”に変えて伝えるまでだ。
エースはクレイオに口づけると、彼女の衣服をひとつずつ脱がせていった。
ブラウス。
スカート。
靴。
ハーフズボン。
ベルト。
ブーツ。
床に衣服がパラパラと落ちていく。
そして最後に二人の下着が同時に落ちた。