第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「エース」
弟を想いながら優しい笑みを浮かべているそばかす顔を、クレイオの両手が包み込む。
「海賊ってみんなあなたみたいな人ばかりなの?」
「さぁな。だが、みんなおれと似たようなバカばかりだ」
白ひげ海賊団だけじゃない。
大渦蜘蛛スクアード、ディカルバン兄弟、リトルオーズJr.を始めとした傘下の海賊達。
みんな、鬼の血を引くおれに生きる場所を与えてくれる。
そして・・・
「みんな・・・家族のように接してくれる」
心から大切そうに呟いたエースを、誰が愛さずにいられるだろう。
クレイオにとっては顔も知らないエースの仲間達だけど、彼らがこの男のことをどう思っているか、手に取るように分かる。
「そう・・・じゃあ、私もどうやらバカだったようね」
「バカ? 教師のお前がバカなわけねェだろ」
するとクレイオは首を横に振った。
「あなたに抱かれたいと・・・あなたを愛したいと思ってしまうから」
すでにログは溜まっている。
明日にはあなたは旅立ってしまうだろう。
でも今宵だけでいい。
───この身が燃え尽きるまで、あなたがここに居たという証を体に刻みたい。