第5章 花火 ~君に残す最後の炎~ (エース)
「ああ、“火拳”か? そいつはルーキーだった頃ですら、政府から王下七武海への勧誘があったほどの男だ。安いくらいだろう」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
背筋に冷たいものが走る。
こんな男が今、自分と一緒にいるのか・・・?
一刻も早く・・・一刻も早く・・・
「どうした、この男に何か心当たりでもあるのか?」
海軍に通報しなければ・・・
“ログが溜まるまでの三日間、ここに泊まらせてくれ”
海賊がいる・・・それも白ひげ海賊団の2番隊隊長がこの島にいると、知らせなければ。
それが一般市民の務め・・・
“おれはお前が気に入った”
「・・・心当たりは・・・・ありません・・・」
だが、それをすることはできなかった。
「では、なぜ手配書などを見たがった?」
「“教材”として使いたかったから・・・それ以上の意味はありません」
「教材?」
ごめんなさい、私は市民の義務を放棄します。
「そうか、お前は確か・・・」
「・・・失礼します。手配書を見せていただき、ありがとうございました」
クレイオは手配書を返し、海兵に一礼してから駐在所をあとにした。