第4章 真夏の夜の夢(ルフィ)
「ルフィ・・・」
クレイオが彼の名を呼んだ瞬間、開け放した窓から、けたたましい大砲の音が聞こえてきた。
ドォン
ドォン
近くで海軍が海賊船に攻撃をしかけているのだろうか。
この平和な島では滅多に聞かれない音に、クレイオは居ても立っても居られなくなった。
“おれ達、明日の朝には出発しなきゃいけねェんだ”
「行かなくちゃ・・・!」
もし、あれが“夢”ではなかったのなら・・・
これを逃したらもう二度とルフィには会えないかもしれない。
クレイオは急いで着替えると、真っ黒なマントを羽織った。
そしてフードに手をやる。
“もう顔を隠すなよ。堂々としてたって、お前のこと嫌いになる奴なんていねェぞ”
「・・・・・・・・・・・・・・・」
“おれはお前を醜いって思ったことはねェ”
「ルフィ・・・!」
パサリと足元に落ちる黒いマント。
クレイオは唇をかみしめ、床に転がっている杖には目もくれずに家を飛び出していった。