第4章 真夏の夜の夢(ルフィ)
それにしても・・・
ルフィは、懸賞金3億ベリーの海賊だったのか。
想像もつかないほどの大金があの細い首にかけられているとは、とても信じられない。
きっと島中の海兵が今頃は彼を追い回しているのだろう。
「もう、二度と会えないかもしれないね」
本当に屈託のない笑顔で笑う子だった。
自分の顔を見ても態度を変えず、むしろ嬉しそうにしてくれた。
60も年が離れていなければきっと、彼に恋していただろう。
クレイオはルフィが座っていたイスに腰を下ろし、窓の向こうを見つめた。
何時間も、何時間もそうしていた。
やがて太陽が沈み、真っ白な月が空に浮かぶ。
「ああ、今日は満月か・・・」
きっとその光は海に反射して・・・
いや、何を考えているんだ。
ルフィはいい子だが、海賊。
“───じゃあ、また必ずくる”
約束を守る海賊が、この世界のどこにいるというのだ。
クレイオは自嘲気味に笑うと、少し早い時間だったがベッドに入った。
寝て、朝がくればきっといつもの自分に戻ることができる。
人の目を避け、孤独でいることに慣れた自分に。
そう願い、ゆっくりと目を閉じた。