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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第4章 真夏の夜の夢(ルフィ)




「うるさいねぇ・・・そんなに叩かなくても聞こえているよ」
「海賊を匿っているという情報を得たので来た。中をあらためさせてもらう」

ドアを開けると、そこには3人の海兵が立っていた。
しかし、フードを被っていないクレイオの顔を見た瞬間、彼らは一様に表情を強張らせ、武器を持ったまま硬直してしまう。

「か・・・海賊、“麦わらのルフィ”と一緒に歩いているのを見たという目撃者もいる」
「ああ、確かに海賊の少年と歩いたよ」

クレイオが一歩近づくと、先頭に立っていた海兵は“ひぃ”と声を上げて後ずさりした。
気の小さいものなら気絶するほどの顔だ、目の前の老婆が本当に人間なのかどうかも疑わしく思っているのだろう。
その証拠に、後ろにいる二人のうち一人はクレイオに銃を向けている。

「それがどうしたっていうんだい?」
「その海賊は、3億ベリーの賞金首だ。肩を持つならばお前も連行する」
「肩を持つだって? 海賊の少年なら、私のこの顔を見たとたん怯えて逃げていったよ」

ダランと垂れ下がった頬をぺチぺチと叩いてみせると、海兵達はあからさまに気味悪そうな顔をした。

「ほら、あんたらと一緒さ。醜女が生活する家を覗いてみたいというのなら、どうぞご自由に」

そう言ってドアを大きく開けたものの、海兵達はすでに調べる気すら失せているようだ。

「いや・・・海賊を匿っていないというのならそれでいい。邪魔をして悪かった」

「・・・・・・・・・・・・」


ああ、本当に“邪魔”をしてくれたよ。
せっかくルフィという良い話し相手を見つけたところだったのに。


「また一人ぼっちだね」


逃げるように去っていく海兵を見つめながら、クレイオは寂しそうに微笑んだ。

これが普通の反応だ。
自分と関わろうとしてくれる人間なんていやしない。

誰かに愛されようなど、夢のまた夢の話だった。





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