第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
「ふふ・・・そういうことを言う剣士さん、珍しいわね」
「うるせェ、ニコ・ロビン」
自分でもガラにもないことをしてしまったと思ったのだろう。
ゾロの顔は真っ赤だ。
「なんだなんだ、今日はクレイオの誕生日なのか?」
もう無かったことにしたいのに、ゾロの叫び声に気づいたウソップ達がワラワラと集まってきてしまう。
すると、キッチンの方からサンジが飛び出してきた。
「クソマリモ!! なんでそれを早く言わねェ?! レディーのバースデーを祝いそこねるとは、おれとしたことがッ・・・!」
「おれだって今知ったんだよ。文句を言うならロビンに言え」
すると、帆の先端にいたルフィまで飛び降りてくる。
「今日はクレイオの誕生日なのか?! よし、じゃあ船を港に戻して宴をしよう!!」
「バカ言ってんじゃないわよ、ルフィ! ゾロが暴れてくれたおかげで、海軍が集まってきてるの! さっさと逃げるわよ!」
「ちぇ~」
ナミの剣幕に、ルフィは不満そうに口を尖らしていたが、何かを思いついたようだ。
「おい、ウソップ! 今日はクレイオの誕生日だってよ。だから・・・」
ルフィの言葉に、狙撃手はドンと胸を拳で叩いた。
「よっしゃ、おれに任せとけ!」
遠く離れた場所からでも祝福の気持ちを届ける方法はある。
麦わらの一味全員、クレイオに最後のメッセージを伝えるべく甲板に集まった。