第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
“お願い、死なせてゾロ! 私は・・・私はもう、生きていくことに耐えられない!!”
「ゾロ・・・貴方って本当にひどい人ね・・・」
“私はいったい・・・いままで何のために耐えてきたの・・・?”
「そう言われてしまったら・・・貴方に抱かれるために、私はこれからちゃんと生きていかなければならなくなったじゃない・・・」
ゾロはクレイオの膣に差し込んでいた指を抜くと、固くなった自身をあてがった。
「おれの目にはずっと、お前はそういう女に見えていたけどな」
もしかしたら、ゾロにとってクレイオは最初から“娼婦”ではなかったのかもしれない。
性交に従事しながらもどこか気品があり、その心には決して折れることのない一本の槍のようなものを感じていた。
「・・・ありがとう、ゾロ」
貴方がこの島に来てくれて。
貴方が海賊でいてくれて。
貴方が方向音痴でいてくれて。
貴方という“奇跡”に出会い、私は5年前の呪縛から解放された。
クレイオの身体にはたくさんの傷痕がある。
だが、もう二度とこの上から新たな傷が加わることはないだろう。
ゾロがその一つ一つに指を這わせると、少しくすぐったそうに身をよじった。
「挿れるぞ」
「んっ・・・」
十分濡らしたそこは、ゾロを嬉々として迎え入れる。
柔らかくも痺れるようなその刺激に、強い快感を覚えた。
ゆっくりと奥を探るように挿入すると、クレイオの唇から甘い吐息が漏れ始める。
「・・・あ・・・」
13歳で娼婦になり、初めての夜に処女を失った。
相手は父親よりも年上の男だった。
痛くて、気持ち悪くて、怖くて、泣き叫んだ。
あれから痛みにも、気持ち悪さにも、恐怖にも慣れた。
だけど、一度として快感を得たことはなかった。