第10章 機械仕掛けの海賊はブルースを歌う(フランキー)
ルフィがフランキーへの絶対的信頼を口にした数秒後。
「待たせたな、今から改造を始めるぞ、クレイオ!!」
クレイオが寝泊まりしているアクアリウムバーにフランキーが飛び込んできた。
興奮気味な大声に、驚いたのはクレイオだけではない。
ガラスの傍を泳いでいた熱帯魚達が驚いて一斉に岩陰に引っ込んでしまった。
その後ろからはチョッパーがクレイオを乗せて運ぶストレッチャーを押しながら入ってくる。
「ちょいと時間がかかっちまったが、設計図ができた」
「どんな脚になるんだ?! ケンタウロスか?!」
待ってましたとばかりにルフィも頬を上気させ、騒ぎを聞いた他のクルー達もぞろぞろとアクアリウムバーに集まってきた。
そんな彼らに、数日間不眠不休で作業机に向かっていたフランキーは得意げに丸めた設計図を突き出した。
「これ以上ねェってくらいスーパーな脚を設計した! 医学的見地からも問題ねェってチョッパーのお墨付きだ!」
「わー、見せろ見せろ!」
「アウッ! そいつァ、手術が終わってからのお楽しみだぜ!」
もったいぶって設計図を見せようとしないフランキーに、ルフィは思いっきり口を尖らせる。
しかし、図面を見たところできっと船長にはまったく理解できていなかっただろう。
「チョッパーも改造を手伝うのか?」
「えへへ、おれ、外科は専門外だけど頑張る!!」
「そっか!」
自分以外は動物しか改造したことのないフランキーの助手役を務めるのはチョッパーだ。
ルフィはウンウンと頷くと、今度はクレイオの方を向いた。