第10章 機械仕掛けの海賊はブルースを歌う(フランキー)
車椅子が無いためサンジに背負われながら船室に入ると、モンキー・D・ルフィを始めとした一味の全員が一堂に会していた。
「お、来たな! サンジの飯は美味かったろー」
長鼻と簡単なカードゲームに興じていたルフィが、ニッと笑いかけてくる。
剣士もガイコツも女海賊達もリラックスしているようだったが、フランキーだけが鉄の指でサングラスを上げて好戦的な目を向けてきた。
「オネーチャン、少しはマシな顔になったじゃねェか」
「黒足から聞いたが、宣戦布告とはなんだ」
フランキーの目の前の椅子に下ろしてもらい、2メートルは優に超えるサイボーグを見据える。
腹が満たされているせいか、先ほどよりは恐怖を感じなかった。
「アレから考えたんだが、今のお前がおれ達の敵にはならねェのは、脚がねェからだろ」
「・・・何が言いたい?」
いくら敵意がないとはいえ、ここにいる全員がクレイオよりも強い。
それでも食事のおかげか先ほどよりも覇気のある声を出す女海兵に、フランキーは不敵な笑みを浮かべた。
「新しい脚さえあれば、お前はおれ達の敵になれるんだな?」
一瞬、時間が止まったのかと思った。
彼は今・・・何ていった・・・?
新しい・・・脚・・・?
心臓が大きな音を立てて鼓動した。
忘れていた・・・否、諦めていた大切な何かを思い出したかのように。
そんなクレイオの様子を見ながら、フランキーはさらに力強い口調で続けた。
「おれがお前の脚を造ってやる」
人体を造るなど、神だけが口にしていいことだと思っていた。
それなのに、目の前にいる異形の海賊は平然とそれを口にしている。