• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第10章 機械仕掛けの海賊はブルースを歌う(フランキー)







翼の折れたカモメは何を想う?
お前の翼をもぎ取った敵を目の前にしながら。

その瞳で飛べない空を見つめることに何の意味がある?
お前の力は敵の前で無力に等しいと知りながら。



「・・・・・・・・・・・・」


消えることのない憎しみを抱えて地を這うことしかできない、憐れな鳥を抱き上げるのは鋼鉄の腕。


「フランキー・・・い、いったい、どうするつもりだよ・・・?」

「そりゃ決まってんだろ。助ける」

「だ、だだだだって、コイツ海兵だろ?! 殺すとか言ってたし・・・」

「関係ねェな」


“敵”だと知らなかったとはいえ、冷たい海の中からお天道様の下に連れ戻してしまったんだ。


「もう手を差し伸べちまったんだ。一度助けると決めたら、殺されたって助けるぜ」


───それが男ってモンだろ。


フランキーは気を失っている女をそっと床の上に寝かせ、チンピラのような笑みを浮かべた。


運命とは不思議なものだ。

海賊によって潰えた夢が、海賊によって掬い上げられることもある。

おそらく今、改造人間の声は届いていないだろう。
それでも翼の折れたカモメの目からは、一筋の涙が零れ落ちていた。










/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp