第6章 RANUNCUIUS
妙な雰囲気の中、居心地の悪さを感じた。
だが、次の瞬間そんな空気が一変した。
それが善となるか悪となるか、未知数。
『えっ?』
突然紫色が私の視界を覆った。
「フフフフ・・・
姫さんに贈り物だ」
聞き覚えの無い男性の声。
紫色のカーネーションのミニブーケを持つ見覚えの無い男。
サングラスを掛け、ピンクの羽の上着を着ていた。
「っっつ!オーナーッ!!」
突然現れた男に1番に反応したのがキッド。
その表情は、見るからに焦っていた。
「よっ、贈り主。
手に入ったぜェ、紫のカーネーション」
「オ、オ、オーナーッッ!!」
「・・チッ、此処はお前の店かよ」
舌打ちしたクロコダイルは、私の目の前にある手をはたき落とそうと試みるが一瞬のうちに避けられる。
「おいおい、物騒だなクロコダイル」
「帰るぞ」
私の返事も聞かず左腕を掴み、引っ張り上げたクロコダイル。
「・・おい、何だその手は・・・・」
クロコダイルの視線の先には、まるで恋人繋ぎみたいに指を絡ませた私の右手とゾロの左手。
あの手帳の時、掴まれたままだった手が気付いた時には今の様に繋がれていた。
嫌ではなかったのでそのまま放置していたが、クロコダイルに見咎められた。
「社長さんに文句言われる筋合いはねぇよな」
挑発的に 社長さん と言葉を使うゾロ。
成す術なくオロオロする私にオーナーと呼ばれた男はまた、場違いな事を言い出した。
「姫さん、この後暇か?俺とデートしょうぜッ」
「「オーナーッッ!!!」」
「ドフラミンゴ!!」
「フフフフ・・・、テメェらがモタモタしてっからだろッ」
今の騒動で自由になった私の手にドフラミンゴがミニブーケを持たせた。
『えっ?あの・・・』
「キッドからだ。
俺様を顎で使うのはこの馬鹿キッドぐれぇだ。
珍しい品種で世に出回りにくいっうから手に入れてやったにすぎねぇ」
男からの贈り物は黙って受け取るのが大人の女の嗜みだ。
と、ドフラミンゴは私に有無を言わせなかった。