第6章 RANUNCUIUS
「仕事の話は後からでいいだろ」
「あら、プライベートな話よ。
だから、この私がお金を出して買うって言ってるのに」
濃艶に微笑むナミにゾロは小さく舌打ちを返す。
「どうせ、コイツがくれるって言う算段だろ。
っうか、お前手帳分厚過ぎじゃねぇ?」
『これぐらい必要なのよ。
これでも前期後期って分けてるぐらいなんだから』
取り返そうと手を伸ばした私の手を掴み、器用に片手で手帳をパラパラ捲るゾロ。
「・・・スケジュール、パンパンじゃねぇか」
『私のだけじゃなくて、社長のとかいろいろあるのよ』
へーっと、呟いたゾロはこれまた器用に片手でスケジュール欄に何かを書き込んでいる。
『ちょっと!』
ゾロの力には敵わないが取り返すためにジタバタもがく私の目の前を別の手が伸びた。
他の手が出るとは思っていなかったのか、油断したゾロの手から簡単に手帳が離れる。
「俺のを困らせるな」
「・・・チッ」
短く舌打ちしたゾロを無視して、私の左隣に座ったクロコダイルが私のバッグに手帳をしまう。
ありがとうとお礼を口にする私の頭をクロコダイルが優しく撫でた。
「お前は俺の
「!酒薄くなったから入れかえる、グラス貸せ」
クロコダイルの言葉を遮る様にキッドはグラスの催促をした。
その目は、私を見ることなくクロコダイルに集中している。
いや、キッドだけではない。
ゾロもまた、クロコダイルを見つめていた。
2人の異様な視線に当の本人もまた、同じ様な視線を向けている。
「・・やだ、ちょっとマジ?!
何これ!超ウケるんだけど!!
ねぇ、!どれにするの?!」
『えっ?えっと・・・
どれと言われても・・どれってどれですか?』
事の成り行きを見ているだけだったナミが突然笑い出し私には理解不能な事を言ってくる。
理解不能なのは、私だけだったぽく。
現にナミの言葉を聞き、クロコダイル、ゾロ、キッドは絡み合った視線を私に向けた。
そして、私の反応に彼はそれぞれ様々な反応を返した。
ため息を吐いたり、口角を片方上げ笑ったり、頭を抱えたり。
その反応も私には、理解不能と言ってよかった。