第6章 RANUNCUIUS
「それでは、わらわとと一応そこの邪魔者社長のイベント成功に乾杯じゃぁ」
何度目になるか分からない、乾杯の音頭。
酔ったハンコックは、楽しそうにグラスを上げる。
この店に着いた当初は、生きた心地がしなかった。
私を挟んで視線だけで遣り取りする、社長とハンコック。
大魔王VS般若女帝
気を取りなす私にハンコックは眉のシワを緩め、笑顔を見せてくれる様になったが、社長の眉のシワはより一層深くなるばかり。
昼間の駆け巡る労働と深夜の心労が重なり、知らぬうちにグラスの酒が消えていく。
「おい、飲み過ぎだ」
グラスを掴む私の手の上から手を乗せる社長。
『・・社長も飲み過ぎですよ』
「俺はいい。お前はもう飲むな」
酒の席で、飲む量を制限されたのは今回初めて。
いつもは加減しながら嗜む程度だが、そのリミッターも今日は壊れてしまっている様だ。
『大丈夫ですよ、まだまだイケます』
眉を寄せ、ため息を吐く社長にヘルプで付いていたキッドが耳打ちした。
「酒の量は減らしてますので強くないです。
・・・ですが、今日のは疲れ過ぎてるせいか思ったよりペースも酔いも早いすねぇ」
「・・・水だけに入れろ、分かりゃしない」
そんな会話が繰り広げてると夢にも思わず私は、今日のショーの成功を喜んでいた。
「ねぇ、。
今日私が着たあのランジェリーとても素敵だったのあれって先に買えない?」
案内された部屋は前回よりもっと広い特別室。
室内は真ん中のテーブルを挟み、ソファーが2つ設置されていて、正面のソファーに座るモデルのナミが私に話しかけてきた。
『あの赤のランジェリーですね。
あれ凄〜く素敵な着こなしでした!プレゼントしますよ。
事務所にお送りしますので是非着てください』
直様、バッグから手帳を出し、案件を書き込む。
忘れはしないだろうがメモっといて損はない。
書き終わろうとしたその瞬間、パッと手元の手帳とペンが消えた。
私の右隣に座ったゾロが取ったのだ。
まさか、ゾロがそんな事するとは思わず私は、唖然としてしまった。