第31章 BURDOCK
「席はどこだ?」
案内しろと示すドフラミンゴに私は、どうにか阻止しようと試みるが上手く出来るわけがなかった。
「席はどこだと聞いてんだよ」
『・・もう、帰るところです』
ここから連れ出したい。
どうしてもドフラミンゴには知られたくなかった。
「・・・へーぇ、じゃお姫さん俺が送ってやるよ」
出来れば断たい。
ドジる前にドフラミンゴのそばを離れたかった。
けど、せっかくこの店から出ると言ってくれたこのチャンスを逃したくはなかった。
『わかりました。
バッグを持って来るので外で待ってて下さい』
「わかった。車で待ってる」
ドフラミンゴが立ち去るのを待って、私は急いで席に戻った。
気が変わって戻って来るかもしれない。
絶対に阻止しなければいけない。
『ごめん、私急用が出来たから帰るね』
財布からお札を数枚出した私はそれをプリンに渡す。
「えっ?もう帰るの?」
「せっかく会えたんだからさ、もう少しいろよ」
『ごめんなさい。
どうしても急ぎの用なの』
「後少しだけ、な?」
私の手首を掴み、引き止める前髪が長い男。
『済みません。
一大事なので、お先に失礼します。
皆さんは楽しんで下さいね』
悪いが名前すら覚えていない男の相手をしてる暇はないのだ。
やんわりと手を放そうと試みるが思っていたより強い力に放す事が出来ない。
「じゃ、俺送ってくよ」
『・・えっ?』
今、なんて言った?!
「送ってく。
夜道は危ねぇし、俺ともう少し話したいんだよな」
もだろ? と、いう顔を私に向けてくる男。
もう、驚くしかない。
何で、どうして、そう思えるのか不思議でしかない。
『大丈夫です。1人で帰れますから』
ふざけるなと言いたいところをグッと我慢する。
腕も思いっきり力を出すが離れる事はなく、鈍い痛みが手首に響いた。
「危ないよ?」
『大丈夫です、手を放してもらえませんか?』
痛みのせいで顔が歪む。
そんな私の様子に気付いてくれない男は、更に力を加えた。
普通の力でも女が男に敵うわけがないのに遠慮もなく加わる力に女慣れしていないと窺えた。
「送って行くからさ」
プリン達も他の男達も私の表情を読み取れたのか慌てて止めに入ったが聞く様子ではない。