第30章 SWEET PEA
『ドフィ、だいぶ片付いたのでもう私1人でも大丈夫だよ』
正直戦力にはなってない。
ソファーに踏ん反り返ってるからだ。
本音を言うと邪魔。
シーザーは既に帰宅していたがドフラミンゴは我が家の如くソファーでくつろいでいた。
「・・そうか?」
素直に動き出したドフラミンゴは、手早く荷物をまとめて玄関に向かう。
私も見送るためにドフラミンゴの後を追った。
「今日はいろいろありがとうございました」
靴を履き、振り返ったドフラミンゴに頭を下げる。
下げた頭にドフラミンゴの手が乗った。
「何かあれば直ぐに連絡して来い」
「・・はい」
優しく頭を撫でるドフラミンゴ。
「何だ、弱々しいな。
俺がいなくて寂しいのか?」
「・・ドフィこそ寂しいんでしょ?」
言い返せばぐしゃぐしゃと髪を乱暴に撫でられる。
「ちょっと・・!」
「そうかもしれねぇな」
えっ?
顔を上げたかった。
だが、ドフラミンゴの手が頭を撫で回しているせいで上げられない。
確かめたかった。
ドフラミンゴがどんな表情をしているのか、見たかった。
「もーぉ、辞めて」
無理矢理手から逃れようと身を引いた私の腰に手を回し、引き寄せたドフラミンゴ。
そのままその身体に抱きしめられた。
えっ?えっ?えっ?!
「ど、ドフィ・・!?」
「何だ?」
何だじゃない!
私の方こそこの状態を何だ?と言いたい。
「えっと、これって・・」
「ハグだ」
ハグ?!
ハグってこんな長いモノだったけ?
こんな密着感あったけ?
「何か無くても連絡して来い、わかったな」
腰に回された手に力が加わり、もう片手は髪に絡ませ頭に頬を寄せていた。
名残惜しむかの様なその抱擁に、いつも感じていたドフラミンゴのぬくもりと匂い。
それが今日から無くなると思うと寂しい気持ちになってきた。
オマケ→