第30章 SWEET PEA
「なぁ、正直に自分の気持ち話したらどうだ?」
『自分の気持ち?』
言ってるじゃない。
キッドに胸の内を今、話してる。
「俺にじゃなくて、ほら」
そう言って顎で示すキッド。
私は不思議に思いながら振り返った。
『・・ドフィどうしてここに?』
いるはずがない。
来るはずがない。
そう、思っていた。
『キッド!まさかあんた教えたわね!』
睨み付けるとキッドは慌てた様に首を横に振った。
キッドが言ってないなら何で私がここにいるとわかったの?
尾行したわけじゃないだろうし。
まさか!
『発信機付けられてるとか?!』
持ってる物のほとんどがドフラミンゴからの物。
キョロキョロと確かめてみるがわかるはずもない。
「んなわけあるかよ」
ちゃんと話せよ と、小声で言うキッドに戸惑う事しか出来ない。
そう言われても・・
横目でドフラミンゴを見ると、いなくなった事を責める事もせず 隣に座りお酒をオーダーしていた。
いなくなっても普段と変わらないじゃん。
ここに来たのもたまたまで、私が部屋を飛び出した事すら知らないかもしれないな と、思いながらも何と話しかけるか頭を悩ませていた。
「何が不満だ」
ビクッと肩が揺れる。
あっ、怒ってる・・
そう気付かせる程の低い声。
「お姫さんは何が不満なんだ」
『ふ、不満なんてない』
住む所も食べる物も身に付ける物も、逆に贅沢させてもらっている。
不満なんてない。
「じゃ、何故逃げ出した?」
『逃げッ・・・』
てるよね、この状態は・・・
ドフラミンゴが良くしてくれているのにこんな行動を取ったらそう思うのもわかる。
「言いたい事は言えと俺は言ったはずだ」
『・・うん』
「うん じゃわからん」
コースターに置かれたグラスに口を付ける事なく、グラスを傾けたり落ち着かない様子のドフラミンゴ。
イラついている・・
その様子に萎縮してしまう。