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花言葉を君に 【ONE PIECE】 現パロ

第4章 CARNATION





「此処には客あしらいの練習としてオーナーに連れて来られたんだよ。
いつもなら、こんな苛立ち我慢するんだけど・・」

『私の何が気に食わなかったわけ?』

会話を始めた時から既にキッドはキレていた。
私には、その理由が思い浮かばない。

「・・・お前、言ったよな。
酒は客の口に入って完成するって・・」

ある人の言葉だが、私はその言葉を気に入っていた。

『ええ、言ったわ』

「なのに、なのにッ!
お前は、一滴も飲まず話してばかり。
氷溶けきって水ぽくなった酒何回作り直したと思う?!

いくら大切な話だとしても、出された酒無視されちゃ俺我慢出来ねぇんだよッ!!」

バーテンダーの性か・・・
ここに送られた事すら嫌気が差してるんだろうな・・

そう思いながら私は小さなため息を1つ漏らした。

そんな私のため息も気に入らないのか、酒の完成を知っている私が飲まなかったのが気に入らないのか。

キッドはこれ以上無い鋭い視線を私に向けた。


『ねぇ、キッド』

語りかける様に話し出す私にキッドは、小さく肩を揺らす。

『キッド、此処がどうゆう場所か分かってる?』

「・・・ホストクラブ。
馬鹿な女が男に金を落とす場所」

『・・・えぇ、そうよ。
此処はお酒を楽しむ場所ではない。
男との会話、駆け引きを楽しむ場所。

ちゃんとお酒を楽しみたいなら私は、BARに行くわ。
BARで私のために作られたお酒を1番美味しく飲める瞬間に私は飲むの・・・

言っている意味、キッドなら分かるわよね?』


唇を噛むキッドは、俯いて微かに頷いた。

お酒が1番美味しい瞬間、それは目の前にグラスが来た時だ。

生ビールも泡が弾け始めた瞬間が美味しい
バーテンダーが作ったお酒も、目の前に来た時が美味しい

ここのお酒は、お酒を楽しむお酒じゃない。

酔いに任せて甘い言葉を惑わせるための媚薬にしか過ぎないのだ。






オマケ→


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