第27章 KATAKURI
「で、どうしたんだ?」
ガサゴソと段ボールを漁るキッド。
『・・・ううん、何でも無いの』
そう、何でも無い事。
クロコダイルに婚約者がいて。
ドフラミンゴに揶揄われていて。
ロビンに敵視されていて。
たった、それだけ。
それだけなんだ・・・
「・・あのさ、俺が言うのも可笑しな話だけどよ。
あんな事言った俺には話しにくいかもしれねぇ・・
でも、無関係な人間だからこそ思ってる事話せる事もあるんじゃねぇのか?」
『キッド・・』
「いや、マジ俺が言えた義理じゃねんだけどな」
差し出されたマグカップを受け取ると暖かい湯気の中にお酒の香りが漂う。
「ホット・ウィスキー・トディだ」
『・・美味しい』
冷え切った心がほっこり温かくなるお酒だった。
『聞いてくれる?』
そう言って私は話を切り出した。
3人が幼馴染だという事。
許婚で、今回婚約した事。
犬猿の仲だった理由がロビンが関係していた事。
そして、私に構っていた理由。
それを知った自分の中の哀しみ。
キッドは、相槌を打つだけで黙って聞いてくれた。
「話の内容はわかった。
ただ1つ気になる事がある。
は、哀しかったのか?怒ったとなじゃなく」
頷く私に、キッドは唸りながら話を続けた。
「・・その、哀しかったってクロコダイルにか?
それともオーナーか?」
えっ?
ロビンの事を知って、驚きが1番だった。
許婚の事も婚約の事も。
でも、ショックだったわけじゃない。
そりゃ、多少はショックだったけどクロコダイルとロビンはお似合いだと思った。
なにより、ロビンからクロコダイルを好きだと聞いた時、やっぱりな と、思っただけだったんだ。
だけど・・
『ドフラミンゴさんかな・・
だって、今まで私に構ってきたのは社長への当て付けでしょう?』
あの優しさも行動も全て、クロコダイルを揺さぶるため。
それは、あまりにも哀しくて淋しい。
「俺なら怒るけど?」
『えっ?・・怒るの?』
「だってそうだろ?
要は、利用されたって事だからな。
俺なら怒る所をは哀しい。
何故哀しいかもっとよく自分の気持ちを考えてみろよ、そしたらわかるはずだぜッ」
そう言うとキッドはニッコリと笑った。