第27章 KATAKURI
『流石、サカズキ社長ご冗談がお上手ですね。
あっ、ご紹介します。
こちらドンキホーテ・ドフラミンゴさん。
joker’s Donquixote corporationを経営されています』
長居は無用。
さっさと終わらせて解放されたい。
「・・存じておる。
若いわりには、凄腕でのし上がったってきたとか・・
昔で言うと成金・・だったかい。
お見知りおきを、ドンキホーテ社長」
『ーーっっ!あのッ!
「こちらこそ、お手柔らかによろしくお願いします。
サカズキ社長」
私の前に出て挨拶するドフラミンゴ。
おかげでタイミングを失ってしまった。
興味を失せたのか、そばを離れたサカズキに何1つ言えなかった。
『ドフラミンゴさん!』
「年寄りの戯言だ。聞き流せ」
言いたい事がわかったのか、ワイングラスを渡しながら呟くドフラミンゴ。
『でも、成金ってあんまりよ。
親の跡を継いだ、ただの2世のクセにッ!』
自分の力1つで辿り着いた地位ではない。
それなのに、自分より下だと見下す姿が滑稽すぎる。
「フフフフ・・、良いセリフだが間違ってもあいつの前では言うな」
『わかってるわよ』
ワインを飲みながらそう言うとドフラミンゴは優しく私に笑いかけた。
「俺の事でお姫さんが怒る必要は無い」
『・・えっ?』
それって、どういう意味?
思い出さない様にしていた、あの事が鮮明に蘇る。
拒絶された様な、私に怒る権利が無い様な、突き離された感じを受ける。
だけど、何で笑顔でそう言うの?
「ロビンのやつ、持って来てたのか・・」
私の様子に気付かず、ステージに目を向けていたドフラミンゴの言葉に私も視線を向ける。
ステージの上では、大きなハープを弾こうとするロビンの姿。
指で弦を弾き、ペダルを踏み滑らかに弾いていくその姿は綺麗だった。
会場を満たす、鮮やかな音色。
招待客は、お喋りや食事の手を止め その音色に聴き惚れていた。