第27章 KATAKURI
『・・社長って婚約してたんですね。
ドフラミンゴさんご存知でした?』
ドフラミンゴの腕から抜け出し、ドアに近付く。
「お姫さん」
『あっ、もしかして今夜発表するつもりだったのかもしれませんね。私全く気付きませんでした』
「お姫さん」
早くここを出なきゃ と、気持ちが先走り上手くドアノブに力が入らない。
『皆さんお知り合いみたいで、もしかして幼馴染とかですか?』
「ッ!」
片手でドアを押さえ、もう片手で私の身体を抱き締めるドフラミンゴ。
「泣くならここで泣け。
1人どこか知らねぇ場所なんかで泣くな・・」
何を言ってるの?
涙なんか流していないのに・・
「ロビンとクロコダイルと俺は幼馴染だ。
親同士が仲良くて、昔から知り合いだった。
ここで会うまでロビンが帰国している事は知らなかったんだよ。
連絡さえ何年も取り合ってねぇ」
それ以上・・言わないで・・・
知りたくない事を知ってしまう。
聞きたくない事を聞いてしまう。
「許婚だってガキの頃の話だ。
婚約話は俺も初耳だったんだ」
『・・ドフラミンゴさんも社長もロビンさんの事好きだったんですね?』
「・・・」
ロビンの言葉から推測した事。
それをドフラミンゴは黙ったまま否定しない。
肯定したと思ってもいいのだろう。
「・・、俺は・・
『聞きたくありません!』
ドフラミンゴの腕から無理矢理抜け出す。
『遊びだったんですよね?
私の事、社長への当て付けで構っていたんですね』
自分で言って、自分で傷付くなんて馬鹿みたい。
素直に甘えていた事がアホらしい。
「、違ぇ!」
『何が違うって言うの!?
ドフラミンゴさんも社長も私の事、揶揄って楽しかったですか?!
社長にはちゃんとした人がいるのに、私に言ってきたりして・・
それをドフラミンゴさんが社長への敵意で私をっ・・
だから、あんなに仲が悪かったんですね。
謎が解けました・・』
「、いいから俺の話を聞けッ!!」
『嫌、触んないでッ』
再び伸ばしたドフラミンゴの手を振り払う。
触れて欲しくなかった。
もう、グチャグチャだ。
何を言いたいか、何をしたいのか自分でもわならない。
ただ、わかるのはこの感情が怒りではなく哀しみからきている事だけはハッキリしていた。