第26章 ALLIUM
「Please take care of the rest」
(あとの事はよろしくお願いします)
そう言って、お付きの2人はリムジンに乗り込み去って行った。
えっ?えっ?
一体どういう事??!!
『えーっと、ニコ様これは・・』
「ロビンで良いわ。
私、あなたにお願いしたい事があるの」
ロビンが指差した先には、タクシー。
「あれに乗ってみたい」
『・・タクシーにですか?』
「ええ、それでお買い物に行きたいの」
『・・お買い物、ですか?』
ニッコリ笑うロビンに腕を取られ、なす術なくタクシーに連れ込まれる。
いや、待て!待て!!
私の仕事はロビンをホテルに連れて行く事だ!
『あの!ニコ様』
「ロビンよ。
様もいらないわ」
『・・じゃ、ロビンさん私はあなたをホテルに連れて行かなきゃいけないんです』
「あら?他に仕事があるのかしら?」
『えっ?ないけど・・』
クロコダイルが来るまでの間、ロビンのお相手をするのが今日の仕事。
ホテルで昼食とエステやネイルをしていればいいと思い手配していた。
「なら、私の希望を叶えてくれる?」
日本で自由に買い物するのが夢だったのと、キラキラした目で話すロビン。
そう言われたら、もう何も言えない。
『お付きの人は?』
「大丈夫よ。
勝手にしてると思うから」
それならと、このままロビンに付き合う事にした。
隙を見てホテルへ昼食などのキャンセルの電話を入れたらいいと安易に考えていたのだ。
その考えが甘かったと気付くのは直ぐだった。
最初は久しぶりの買い物に私も一緒に楽しんでいた。
だが、流石お嬢様。
買い物する量が半端ない。
値札なんか見ず、欲しいと思ったら購入し、直ぐに使いたい物以外はホテルへと郵送の手続きをする。
買った物が手元に無い分、到着する届け物の量がどれくらいになるかゾッとする。
「ねぇ、ドレスこれとこれどっちがいい?」
『どちらも素敵ですよ』
「それはわかってるわ。
どっちがクロコダイルの好み?」
『・・黒かな』
社長の好み・・
嬉しそうにドレスを身体にあてるロビン。
その表情は、華やかで恋する女の子みたい。
『ねぇ、ロビンさん・・
社長の事好きなの?』