第25章 NIGELLA
思いっきり泣いた私は、化粧室へ行きメイクを直す。
ブサイクな泣き顔。
室内が薄暗くて助かったと思わずにはいられなかった。
「出るぞ」
『ドフラミンゴさん、ちょっと待ってて下さい』
戻って来た私の手を取りBARから出ようとしたドフラミンゴに断りを入れ、私はカウンターへ向かう。
キョロキョロと辺りを見渡すがそこに、キッドの姿は見えない。
「お客様?」
『あっ、すみません・・
あの、キッドは・・いますか?』
「あーぁ、今彼は休憩中でして・・」
タイミングが合わなかった。
直接キッドにお礼を言いたかったがいつ休憩か終わるかわからないし、ドフラミンゴを待たせたままでいるわけにもいかない。
『あの、じゃ・・
キッドに伝えてもらえますか?
お酒、とても美味しかったですと・・
後、貴方にお願いしたい事があるんですが』
「何でしょう?」
『キッドにお酒を1杯作って欲しいんです』
そう言って私はお札をバーテンダーに渡し、カクテル名を告げた。
私からもキッドに伝えたい・・
「お任せ下さい」
『はい、お願いします』
綺麗な笑顔のバーテンダーに見送られ私は、ドフラミンゴの所まで小走りで近付く。
「用は済んだか?」
『はい、お待たせしてしまってごめんなさい』
ドフラミンゴに促されエレベーターホールへと向かう。
「キッドとはもう会えそうか?」
『はい』
何より、泣いてスッキリした。
ここに来た時より晴れやか気持ちが私の心に満ちていた。
「お姫さん、結局言わねぇつもりか?」
『自分で考えて答えを見つけます』
「俺は知りたいと言ってもか?」
エレベーターのボタンを押して、私を見下ろすドフラミンゴに私は頷く。
何と言われようとも話せない。
エレベーターが開く高い音が聞こえ、私達は無言のまま乗り込む。
1階を押すと思っていたドフラミンゴの指が上階の客室階のボタンに触れた。
『・・えっ?』
「今日は帰す気はねぇ」
『!!?』
「言うまで俺はを帰すつもりはねぇからな」
ニヤリと笑うドフラミンゴ。
逃げれないと思った。
何が何でも欲しいものは手に入れると明言しているドフラミンゴが手を引くわけがなかった。
オマケ→