第22章 CALENDULA
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出張まで後、3日。
日曜の朝。
「俺、聞いてねぇんだけど」
話すのがギリギリだとヤバイと思い先にメールで知らせていた。
玄関で会った矢先の言葉。
私はゾロを部屋に招き入れる。
『会って話す暇も無かったの。
だから、遅くなるよりはと思ってメールしたのよ』
「・・泥棒でも入ったのか?」
部屋を見渡したゾロ。
そう思われても仕方ない。
いつもは片付いている部屋が現在は歩くスペースがギリギリな程散らかり放題になっていた。
『毎日残業で土日返上、ここにはお風呂と着替えるためだけに帰ってたからね』
ゴミすら出せていない。
まぁ、生ゴミが出てない分臭いには助かっている。
『さっき帰って来て、荷造りの準備始めたところよ』
ベッド脇には大きなキャリーケース。
まだ、中は半分程しか入っていない。
「・・そんなに長く行くのか?」
『予定では4週間、伸びたとして1カ月だね』
座る場所をどうにか作り、ソファーにゾロを促す。
怒ると思っていたゾロが以外と落ち着いている事に私は拍子抜けした。
『3日後には出発だから、明日の朝にはここを出たら帰ってくるまで戻らないつもりなの』
そう、だから今日1日で荷造りと片付けをしてしまわないといけない。
「・・その間何処で寝るんだ?」
『寝る暇があったらオフィスかな』
やってしまわなければいけない雑務はまだ残っている。
アレとコレとと考えながら私は荷造りの手を休めず動き回っていた。
『あっ、メイク道具とスーツ4着?いや、5着で着回すか・・
靴は3足でいいや』
手持ちのパーティードレスを見ながら、向こうで借りようと思いクローゼットの中へ戻す。
着々と準備を進める中、ゾロはぼんやり私を眺めていた。
仕事明けで疲れているのか何も言わないゾロだったが、寝ようとはせず、只々私を見ていた。
『・・・ゾロ怒ってる?』
早く準備してしまいたい気持ちを押しやり、ゾロのそばへと近付く。
『ゾロ?』
返事が返って来ない事に不安を感じ、私はゾロの頭を優しく撫でた。
ーギュッー
私の腰に手を回して、抱きつくゾロ。
座ったゾロと立ったままの私では、ゾロの顔が胸辺りにありいつもと違う感覚に胸がドキッと震えた。