第20章 SHEPHERD’S PURSE
ーー
ーーーー
ーーーーーー
来てしまった。
断る事は考えていなかったが、実際行くと実感してしまう。
帰り際、渡された鍵。
住所はメールすると言われ、タクシーに1人乗り辿り着いた。
ゾロは仕事が終わるまで帰って来ない。
その辺で時間を潰すと言った私に難色を示し、言う通りにするしかなかった。
だって、
に何かあったらと思うと気になって仕事出来ねぇから俺が無理だ
と、言われてしまった。
ゾロの心配そうな表情を思い出すと顔がニヤけてしまう。
『お邪魔します』
普通よりちょっと防犯高めなマンション。
広さは2LKだろうか、家主がいない部屋を見て回るのは憚れると思いドアの数で予想を付ける。
『・・風呂とか勝手に使えって言ってたけど・・・難易度高いよね・・』
初めて訪れる部屋。
何処に何があるのかさえわからない。
一応、メイク落としと歯ブラシは途中コンビニで買ってきたけど・・・
下着までコンビニだと色気が無い。
『いやいや!するって決まったわけ・・
そりゃ、大の大人だもん・・するよね・・・』
独り言が誰もいないリビングに響く。
こんなに悩むのなら日を改めた方が良かったかも・・
でも、一緒にいたかったし・・
何気なく点けたテレビ。
深夜放送が意味無く流れる。
『・・ヤバイ、眠い・・・・』
ゾロが帰って来るまで起きてなきゃとは思うが連日の激務にお酒が入った身体は言う事を聞いてくれない。
ソファーに寄りかかりながら私はつい、ウトウトし始めてしまった。