第18章 AGROSTEMMA
外傷性気胸。
私の病名だ。
事故で、肋骨が折れそれが肺に刺さったのが原因。
心臓に近い場所だったために大量血胸を引き起こし、緊急手術となった。
『・・それで何故ロー先生が執刀医だったんですか?』
説明に来たのは、担当医のペンギン先生。
「あぁ、それはねロー先生の独断だよ」
心臓にも近かったしと、笑いながら教えてくれた。
心臓外科医のロー先生がわざわざ?とは、思いながらもその言葉に私は一応納得した。
手術とか救命医とか病院の仕組みは、イマイチよくわからないがそうゆう事もあるのだろう。
入院は肺の機能や手術痕の回復具合を見ながらだが、約2週間になるらしい。
そうとわかればやる事は山積みだ。
退院前に社長が顔を出すはずだと思い、私はペンギン先生に紙とペンを欲しいと頼んだ。
「何するの?」
『必要な物を書くんです』
「ここ、特別室だから専属付くのは知ってるよね?」
社長のご厚意だと聞いたこの部屋。
私が使う日が来るとは・・と、思ったがお言葉に甘えよう。
『はい、身の回りの物はご厄介になりたいと思ってます。
ただ、仕事用のパソコンや資料に書類とそれから今抱えている案件の最終確認と・・』
「おいおい、一応病人だよ?
仕事は有給貰ってゆっくり休んでよ」
呆れ顔のペンギン先生には悪いが落ち落ち寝てる暇は無い。
ちょうど新しい企画が山場を迎えているところだ。
目を離す事は出来ない。
「担当医の言う事は聞くもんだ」
そうお前が俺に言ったんだぞっと、いつの間にか社長とロー先生が部屋に入ってきていた。
『社長、お怪我は大丈夫ですか?』
「俺の事より自分の心配したらどうだ」
心配したのに何故かムスッとする社長に私は笑って言った。
『ロー先生が手術してくれたんでしょ?
だったら大丈夫ですよ、このまま退院しても良いぐらいですよ』
「「・・・」」
「フフッ・・」
笑みを零すロー先生に、本気ですよと伝える。
「脱走してみろ、バラすぞ」
医者が言うと冗談には聞こえないのが余計怖い。
大人しくしとこうとこっそり私は思った。
オマケ→