第18章 AGROSTEMMA
次に気が付いた時は、周りの音が変わっていた。
単調的な機械音。
知らない声に知らない単語。
医学語だとわかった時は病院にいるんだと気付いた。
クロコダイルは無事かな?
頭の怪我大丈夫かな?
そんな事ばかりを考える。
左胸の痛みは増すばかり。
呼吸も苦しい。
騒々しい中に聞こえたクロコダイルの声。
誰かと話している。
良かった無事、でも怒ってるみたい。
声を出そうにも身体を動かそうにもまるで自分ではないみたい。
「言っただろ!連絡取れ!!」
「何度言わせる!言えばわかる!!」
何をそんなに焦っているのだろう?
今何時?この後の予定は確か・・
社長と副社長がこの状態なら会社はてんてこ舞いだろうと不安がよぎる。
早く起きなきゃと思うが気持ちだけが空回りしていた。
「電話を変われ!」
「俺だ!クロコダイルだ!!今すぐ救命に来い!!!」
誰かを呼びつけるクロコダイルの声を聞きながら私はまた、闇に誘われる。
あぁ、ダメだ。
目を瞑ったらもう・・・
そして、またあの暗闇へと沈み込む。