第6章 2つ言っておくぜ
「あと、一番の武器は無欠の時間、ヘブンタイムです。」
そうきっぱり言い切った黒子からは、得体のしれぬ凄みを感じる。各々が息をひそめて次の言葉を待った。
「僕達キセキの世代が最強と呼ばれた要素の一つとして、スタミナの消耗が少ないことがあげられます。実際体力の消耗は先輩たちや火神君達と同じですが、紫苑さんはその体力を回復させることができるんです。」
昼休みの騒ぎは相変わらず風に乗って耳に聞こえる。
体力の回復、その言葉に日向達は思い当たる節が合った。確かに、ベンチでは何も言わなくても的確に処置をしてくれた。
「…いや、つーかありなのかそれ…まず、ありえないだろ…」
「いいえ。伊月君そんなことないわ。紫苑ちゃんの処置は的確かつ素早かったけど、それに加え、フィジカル全体に対してのアイシングを行っていたのよ。まさかとは思っていたけど…」
最強のスケットが入ってきたという実感が、やっと誠凛高校バスケ部全体にひたひたと沁み込んでいった瞬間であった。