第6章 2つ言っておくぜ
試合が始まった。ジャンプボールはあっけなく新協側へ。先制点もとられ、日向の3pも止められ、やはり、高い。
だが、誠凛側には秘策が合った。
気がつくと、お父さんのゴールはいつからか入らず、リングに当たって跳ね返っている。
「そう簡単には入れさせないわよ。なんたって…火神君がお父さんに自分のプレーをさせてないからね。」
「自分のプレーを?」
「届かなくてもやり方はある。水戸部君直伝のね。やりたいことをさせない。行きたいとこへ行かせない。そうやって相手の苦手な体制に追い込んで、プレッシャーをかけて楽にシュートをさせない。」
リコの言葉に耳を傾けながらも、目線はコートの中へと集中を切らさない。紫苑は次々と手にしたボードの上、ペンを走らせていく。
届かない。それを克服した今なら…