第6章 2つ言っておくぜ
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火神達がぼろぼろになって帰ってきて、リコは黒子に問いかけた。
「紫苑さんですか?そのまんまだと思いますけど…」
「まんまって…よくわからないから聞いてるんじゃない。」
黒子は少し頭を捻った。
「彼女は女帝の瞳。クイーンアイというのを持っています。」
「くいーんあい?」
「相手の全てを見ぬく瞳のことです。相手の心理から今までの知識や経験を踏まえて、何を思っているのか次どう動くのかを先読み出来るんです。」
全くの未知の世界観であった。しかし、実際それが証明されたのも事実である。まだありますよ、と黒子はさらに話し続ける。
「僕は影を薄くする方の視野誘導が出来ますが、その逆で、紫苑さんは光を濃くする方の視野誘導が出来るんです。」
不意にあっと声をあげた。
「そういえば、黒子を見失っても白華は絶対に見失ったことはないな。な?」
「そうだな…気が付いたら黒子が消えて、白華がいる!みたいな。」
「単純に黒子が影薄いのかと思った。」
「実際そうですけど。」
「自分で言っちゃうんだ…」
ストローを加えながらその話を聞いている紫苑の後ろで、火神のもごもごとした声が聞こえた。
「要するに迷子になりにくいってことだろ?」
「僕は迷子になってません。」
「なってんだよ!!」
掴みかからんばかりの勢いの火神を華麗に無視してさらに黒子は続ける。紫苑のもう一つの能力について。