第5章 逆襲よろしく!
「…黒子っち…」
第一から飛ばし過ぎたのか、疲労感が流石に答える。肩で息をしながら黒子を睨むと、彼はいつものポーカーフェイスで見つめ返してきた。その目になにを映しているのか、何を伝えようとしているのか、今の黄瀬は頭に血が上り、考えることすら嫌になっている。
「黄瀬君は強いです。僕は愚か、火神君でも歯が立たない。けど、力を合わせれば…二人でなら戦える。」
「…やっぱ黒子っち変わったっスね。帝光時代にこんなバスケはなかった…けど、そっちも俺を止められない。そして勝つのは俺ッスよ。…黒子っちの連携をお返しするのは出来ないッスけど黒子っちがフルに40分持たない以上、結局後半じり貧になるだけじゃないっすか!」
手を伸ばし、ボールを取る。
一人が、黄瀬のマークに入るべく足を動かす。
「…そうでもねぇぜ。」
「な?!」
ボールを取った黄瀬の前に立ったのは、誠凛11番…黒子本人だ。コート上にいる全員が驚いて口を開ける。
「黒子が黄瀬のマーク?!」
正直、これはあまり意味がないと思う人がほとんどだ。パス回し意外取り柄のない黒子が黄瀬のマークに着くなど、相手になるわけがないのだから。それでも、リコと紫苑は二人に託すことに決めていた。
仲間を信じ、チームを勝利へと導く。
このバスケこそ、紫苑が望んでいたバスケ。そして、黒子が信じていたバスケ。