第5章 逆襲よろしく!
「それじゃぁ、第2クオーター始めます!」
コートに出て行く二人の背中に、リコは叫んだ。
「逆襲よろしく!」
それぞれの応援の声がまじりあい、体育館全体に鳴り響く。点の取り合いは第一クオーターとそう変わらず、点を取ったら取られ、点と取り返したらまた取られの繰り返しで、差が縮まることも、開くこともない平行線の戦い。
口元に手を当て、試合展開を静かに見届ける紫苑。
「(海常ディフェンスはマンツーマンのまま…やれるなら、今…)」
素早くボールが動き、それは綺麗に火神のもとへと通される。
「何か変わったんすスよね?」
それでも勝てるという自信を失わない黄瀬に言葉を返す余裕もなく、火神は走り出す。
「(ただのドライブ?またフェイドアウェイとか?…しおりんから何を言われたんスか。)」
などと考えを巡らしていると、なんと火神がボールを投げ捨てるようにして後ろへパスを出した。それを拾ったのは、黒子。黄瀬を避けるように短いパスを出すと、再び火神の手がボールと捉えた。
「(黒子っちと連携?!)」
誰にも邪魔されることなく、火神のレイアップが決まり、スコア31:39.
「うっし!」
リコはガッツポーズをし、その横で紫苑は勝ち誇ったように笑った。
それからもボールは誠凛側。再び火神が素早くボールから手を離すと、黒子がそれを拾う。
「(またっスか。同じ手は!!)」
「(黄瀬っちは単純すぎるんだよ…)」
次も火神にボールが戻るだろうと思ったが、案の定それは日向のもとへ。ノーマーク状態でシュートが決まり、誠凛ベンチは大いに盛り上がった。
「来た!!スリーポイント!!」
「5点差だ!!」