第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
「わりぃわりぃ。ちょっと嬉しくってな。」
「うれしい?」
「そういうこと言ってくれる奴久しぶりだったから。向こうじゃそれが普通だったんだけどな。」
「向こう?」
「アメリカ。」
「え?アメリカいたの?すげぇ!」
とたんに興味を示し笑顔になる黄瀬の豹変ぶり。そんな黄瀬とは裏腹に今度は火神の表情が引き締まる。
「こっち帰ってきてバスケから離れたのは早とちりだったわ。張りが出るぜマジで!やっぱ人生挑戦してなんぼじゃん。強ぇ奴がいねぇと生きがいになんねぇだろ。…勝てねぇぐらいがちょうどいい!」