第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
拳を握りしめ楽しそうに言う火神を黄瀬も紫苑も不思議な顔で見ていた。勝つことがすべてだった二人には火神のその言葉は新鮮だった。
「まだまだこれからだろ?聞いてもねぇ御託並べるのは早ぇんじゃねぇの?おかげで分かったしな。お前の弱点。」
「?!弱点?」
「自分から言い出しづらかったのもちょっと分かるわ。見ればできる。見えなかったら?そもそも元から薄いのが前提じゃ、やれって方が無理な話だろ。いくら身体能力が優れているお前でも、影を極限まで薄めるバスケスタイルだけはできない。つまり!」
火神は黒子の頭を掴むと自分の前に引き寄せた。
「こいつだろ!お前の弱点!」
思わず呆ける黄瀬。不敵に笑う火神。そして、迷惑そうに火神を見上げる黒子。
「何するんですか?」