第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
今度はボールは誠凛がわへ。日向のパスは黒子を通してゴール目前の火神のもとへ。
「(またこいつ!何もん…?)」
火神お得意のダンクで再び点を取ると、誠凛ベンチが一気に盛り上がった。
「こっちも全開で行くぞ!」
「おう!」
それからの試合展開は思わず息をのんだ。リコも紫苑もベンチにいる者は全員立ち上がり、コートの中で怒っていることに冷や汗をかきつつも、その白熱する試合に飲みこまれていく。
「ちょ…何よこれ…」
「なんなんだ、このハイペースは…」
いつも明るくふるまっている小金井も流石に顔が引きつっている。
スコア16:17で海常がリード。
しかし、誠凛も負けてはいない。不可思議に変化自在なパスを出す黒子に買海常は苦戦を強いられているように見える。
「まだ、始まって三分だぞ?」
火神にボールが渡ればそのままダンクで点を取ったかと思えば、すかさず海常も黄瀬にボールが周り、同じくダンクを決めるの繰り返し。