第4章 勝てねぇぐらいがちょうどいい
黄瀬の顔に笑みが広がり、了解したとでもいうかのように、海常は速攻に移った。日向が抜かれ火神も抜かれて、ボールは黄瀬のもとへ。その勢いのままダンクを決めると、ギャラリーからの黄色い声が騒ぎを大きくする。
「流石黄瀬っち。」
頬杖をしたまま紫苑がつぶやいた。火神にダンクをさせたのは、黄瀬がそのお返しとして紫苑に今の自分の能力を見せるため。つまり、まんまと罠にはまったわけだ。
黄瀬はしばらくリングを掴むとそっと手を離した。そのタイミングを見計らったかのように笠松の飛び蹴りがまたもや直撃する。
「バカ野郎!ブッ壊せっつたろうが!」
「すいません!」
「(いや…威力は俺より…)」
「俺、女の子にはあんまっすけど、バスケでお返し忘れたことはないっスわ。」
「……てんめぇ…上等だ…」